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vol.126-「”価格”はどのように決めるかを考える」

製造業・卸・小売業者などが、”モノ”や”サービス”を売るとき、逆に消費者が買うとき、真っ先に確認するのは何でしょうか。まず価格・値段は絶対見るでしょう。「これ、いいな」と思っても、値札見て安すぎても高すぎてもダメなはずです。消費者が納得いくお手頃価格なら買う気になります。

『鶴瓶・上岡パペポTV』から・・・[上岡龍太郎さんの話]:(“カズノコ”の値段が高いワケ)・・・

市場に買い物にきた大阪の奥さんが、「魚屋のおじさんにこう文句を言った。」

[奥さん]: 「ちょっとおじさん、なんでこんなに”カズノコ”高いのん?」って・・・すると、

[魚屋のおじさん]:「奥さん、ようそんなこと言いますね。そしたら、自分で獲ってきたらどうですか。こんな値段で絶対とれません。自分で船仕立てて、船員雇って、北の海へこぎ出して行って、最新魚群探知機駆使して、荒れ狂う暴風雨の中ニシン捕まえて、ニシンの腹裂いて、ほーら出てきた、”カズノコ”や”カズノコ”やって、やっとこれだけ獲ること考えてみてください・・・一万円でとれますか?」

それを聞いた鶴瓶さんが、えらい納得して、たしかにそれなら安すぎるほど安いな・・・と納得してました。

これからIT業界もこの手を使ってみませんか?「自分でこんなシステムつくろうとしたらナンボかかると思います?」それさえお客様に聞いたら、提案するときに難しい見積しなくても、適正料金が決まるのではないでしょうか?これぞ納得価格です。

[“モノ”や”サービス”の価格は”時”と”場合”に応じて変動する時代へ・・・]:

料理宅配最大手のウーバーイーツジャパン(東京・港)はこの3月から需給に応じて配送基本料が変わる「ダイナミックプライシング(DP)」を福岡県と京都府で導入しました。配送員を確保するため、注文が多い時間帯の基本報酬を通常よりも引き上げます。料理宅配各社は配達地域を広げており、配達員の獲得競争は一段と激しくなるでしょう。

配達員の報酬は従来から配送距離に応じた基本料金に、時間帯や走行場所で変動するボーナス分が上乗せされていました。これに需給ひっ迫見合いのさらなる上乗せにより、注文が集中する昼などに、より多くの配達員に働いてもらうよう誘導できます。両府県で効果を見極め、導入地域を順次広げるとのことです。

断続的な緊急事態宣言などで料理宅配の需要は急増しています。データ分析のヴァリューズ(東京・港)の調査によると、2020年1月に294万人だった利用者は2021年1月には902万人と3倍に膨らんだ模様です。ウーバーは広域での料理宅配の需要が広がるとみて、年内にも全国展開する方針です。今後も人材確保を進めながら成長するには働き手が不利にならない仕組みづくりが課題となります。

[これからの価格(値付け)はみんなこうなる・・・]:

ダイナミックプライシングとは、消費者の”需要”と”供給”に応じて価格を変動させることです。つまり、空き状況や利用頻度によって「柔軟に最も適した価格で提供すること」とも言えるでしょう。たとえば、映画館のレディースデーやお盆・年末年始の飛行機やホテルの価格にもダイナミックプライシングは活用されています。私たちが飛行機やホテルを利用しようとした時に、いわゆる繁忙期の値段が通常よりも高かったという経験はみなさんおありでしょう。これは、需要の増加に伴って、消費者がある程度納得して利用できる価格帯まで値段を上げても構わないからです。

その反対もあります。閑散期に値段を下げて消費者に利用してもらうといったこともあります。飲食店の早割や、眺めが良くない部屋の価格を下げて少しでも利用してもらうというのもダイナミックプライシングの考え方です。

[技術の限界には人間の判断で対処する]:

最近ではAIを用いたダイナミックプライシングの導入が本格化しています。AIを用いることで価格設定の精度が上がっており、たとえば以下のような要素から最適価格を決めています。(1) 周辺イベント;(2) 天候; (3) 競合; (4) SNSでの話題性・・・などです。

通常であれば、このようなビッグデータを利用するには回収や集計に時間や手間がかかってしまいます。しかし、AIを用いることで素早く複雑な条件を考慮して値段の決定ができるようになっています。また、これらのデータが溜まれば溜まるほど、その精度が上がっていくのもAIを利用したダイナミックプライシングの特徴です。

ダイナミックプライシングを活用すると(1)収益の最大化;(2)在庫を抱えなくて済む・・・といった利点を享受できます。需要が高まる時期には価格をあげ、下がる時期には価格を下げます。需要があるときはなるべく収益の上積みを行い、需要がない時は空席や空室をなるべく無くす価格調整を行います。需要が下がる時期に適正な値下げをすれば、ある程度の利益を保ったまま商材が売れる可能性も出てきます。閑散期、大量に在庫を抱えるリスクの防止にもなります。


ダイナミックプライシングは、価格競争を勝ち抜くための有効な手段です。しかし、突発的な出来事に対応できないこともあります。近くで大きなイベントがある時はそれに考慮して料金を引き上げますが、何らかの事情で急遽イベントが中止された場合はそれに対応できず、料金が引き上がったままとなり、損失が大きくなります。AIは過去データ学習結果から事前に分かっていることへの対応には優れていますが、想定外に起きる需要変動要因に対しては、人間が臨機応変にその事態を察知して運用でカバーしていくことが大事です。

想定外の”災害”・”事故”・”障害”・”トラブル”の際、技術進歩の限界に対し、人間の”知恵”と”工夫”を駆使することで、損害を最小限に抑え込み、”予防”・”再発防止”の仕組をつくれます。また、消費者がこの価格は割高だと感じて値下げ交渉してきたとき、冒頭の[魚屋のおじさん]のように、なぜ高いのかを消費者視点から納得いく説明ができたら、さらに収益の最大化を図れると考えます。

以上

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