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業際時代 第196号

先月、今月と当社では東京、大阪、ソウルで5つの展示会に参加しましたし、参加します。 その展示会はIoTに関する展示会、セキュリティソフトに関する展示会、ネット販売商材に関する商談会です。 展示会は同じタイトルでも出展する企業の商品や業種は実に様々です。 一見すると、関係のない他業種も多く、むしろ当社が異端児ではないかと思う程です。 こんな展示会に参加していると、今の世の中は「業際時代」だという実感がします。

業際とは、異なる事業分野にまたがることなのですが、むしろ我々の感じ方は逆で、我々 の業界に異業種からの参入が進んでいることを強く感じるのです。 例えば、2020年には日本のIT技術者の需要は約150万人と言われていますが、実際 には90~100万人しか充足出来ないのです。 残りは韓国やベトナムやインドからのIT技術者、そして他業種からの転入企業です。 こうなった理由の背景には、日本での若年者人口の減少、学力不足、労働環境の変化な どがあります。 しかし、それ以上に情報化ニーズの沸騰に伴うIT技術者の不足が最も大きな原因です。

例を挙げますと、IoT、AI、ビックデータ、セキュリティ、ロボット、EV、・・・ どれもこれも情報化ニーズが伴なっており、人材の供給が追い付かないのです。 自動車産業がその典型で、衝突防止、車線はみ出し防止、速度厳守、燃費優先、アイドリ ング停止、・・・こんな機能が自動車にはどんどん装備され一般化されています。 これらは機械的動作で制御されるのではなく、電子的動作で制御されています。 あちこちにセンサーやコンピュータが装着され、ソフトウェアによって制御されています。

銀行でも従来の企業向けサービスも一歩も二歩も踏みこんだサービスを提供しており、従 来よりも企業側に踏み込んだサービスを提供しつつあります。 今後はますますこの傾向は強まることはあっても弱まることはないと思います。 これもまた、ソフトウェアがその中心になって顧客へ提供されます。 既に、メインバンクではAI技術も利用されており、顧客との応対にも使われています。 AI技術も今後は加速度的に発展し、顧客へどんどん提供されて行くことは間違いありませ ん。 特に、ビッグデータ解析や分析には必要不可欠な技術となりつつあります。 具体例として、米IBMではAI技術機能である「WATSON}を無償提供すると発表しています。


このように、総じてみると各種業界で本業部分にソフトウェア技術の高度化と新ビジネス化 によるサービス提供が飛躍的に出て来るような気配がします。 ここにもIT技術者の業際化が出て来るのは間違いありません。 もう設計や開発はローテクになって行くからです。 これからは、システム化企画がものをいう時代です。 何を、どんなコンピュータに、どのように、やって貰うかの時代です。

従来はIT技術者と言えば、IT業界人を指し、自動車産業や金融は保険、証券にもIT技術者はいましたが、それでもプロの技術者とはどこか違う存在でした。 IT業界のIT技術者はどこか仕事の範囲も広く、いろいろな顧客企業や業種の経験もあり、所謂、ユーザー技術者とは違う領域の広さを持っていました。

しかし、今はその顧客自体の情報武装化が飛躍的になり、従来のIT技術者ではアプローチ 出来ない分野も出てきています。 しかし、従来型のITニーズも増加しているので、IT業界内での技術者の争奪戦が顧客企業を含め、乱世に突入したような状況になっています。 もはや、Web媒体でのITキャリア採用は不可能に近いレベルまでに落ち込んでいます。

こんな中で、我々IT業界もシビアに採用を考えねばなりません。 各種業界で本業部分にソフトウェア技術の高度化と新ビジネス化によるサービス提供が出て 来た以上、IT技術者の業際化も出てきたのは間違いありません。 従来はIT技術者と言えば、IT業界人を指し、自動車産業や金融は保険、証券にもIT技術者はいましたが、それでもプロの技術者とはどこか違う存在でした。 IT業界のIT技術者はどこかこなせる仕事の範囲も広く、いろいろな顧客企業や業種の経験もあり、所謂、ユーザー技術者とは違う領域の広さを持っていました。

しかし、今はその顧客自体が情報化せざるを得ず、そこにプロのIT技術者も職を得る時代です。 こんな中でもっとも頼りになるのが「質」だと思います。 質的に高い技術力、知識力、提案力、プレゼン力、営業力、経営力、・・・兎に角、そんなものが今後のIT業界では不可欠な生き残り要因になるのは間違いないと考えます。 ワーカー的な情報技術者はローテクの烙印を押され、それ以上の付加価値を要求されること も期待されることもなくなるように思います。

更にこういった高度な分野でも当分はアメリカ主導のIT業界が続くのも間違いありません。 アメリカの持つ多様性やビジネスチャンスは他国には追随を許さないでしょうし、それだけの市場も持っているからです。 アメリカと接点を持つビジネスを展開できれば、幾らかなりの刺激を受けることも出来、日本市場の特殊性も少しは改革出来そうにも思います。 私は最終的にはアメリカに上陸したいと考えています。

業際化は企業のみでなく、人種、国、政治に関係なく、どんどん進みます。 また、進まなければ生き残ることも厳しくなるのが日本の宿命だとも思います。 日本のIT企業ももっと国際化してしかるべきだと思います。 国内市場よりもむしろ海外で稼ぐ企業を目指すことも生き残る策の一つだと思います。

業際化はIT企業には避けられない変化です。 当社も中期事業計画を策定していますが、その根本は「質の向上」に尽きます。 これからの10年間はとてつもなく、大きな変化が起こると予想しています。 その変化に対応出来たIT企業こそが、将来の発展を手中に出来ます。 当社もその方向へ変えて行かなければなりません。 変化のない企業など結局は滅亡するからです。 リスクに挑戦してこそリスクではなくなります。 むしろ挑戦しないリスクこそ本当のリスクになる時代だと思います。

業際化にも負けずに頑張ります!!

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