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暑い夏 第91号

このところ、毎日30度半ばに近い外気温度が続いています。 所謂、「うだるような暑さ」とか、「歩くだけでめまいがしそう」とか、「外へ出るのに小さな勇気がいる」とか、そんな言葉で表現したりしています。 大阪ではこんな時に、「ムチャ、暑いわあ」と言ったりします。

只でさえ、地球温暖化やCO2問題が取上げられている最中、真夏の温度も一昔前とは随分と違うように実感します。 湿気が多くなった上、昼と夜の温度差が縮小していると感じます。 このような思いは私だけでしょうか?・・・

私は南九州の出身ですが、小さな頃(といっても高校卒業までですが)はこんなに暑いなと感じた記憶がありません。 確かに真夏の日照りは大阪よりはるかに厳しく、太陽光線と熱を自分の頭の上で直に感じたものでしたが、それでも今のように過ごしにくいことはなかったように記憶しています。 木陰に入ればスッーと風も吹いて、涼しく、湿度もそれほどなくて、心地よいものでした。 今のように人工的な熱や涼しさとは縁遠い日常でした・・・

また、夜に寝苦しいといった記憶もありません。 部屋の中に蚊帳を吊るし、外には蚊取り線香がおいて、それこそぐっすりと寝ることが出来たものです。 外では風鈴がかすかに風に揺られ、チリンチリンと音が聞こえたものでした。 昼も井戸や冷蔵庫で冷やしたスイカを食べたり、今では見かけなくなったサトウキビを頬張り、甘い汁を吸ってはプッーとカスを口から音と共に飛ばしたり、そのカスの跡に蟻たちが群がりせっせとどこかへ運んでいたものです。 そして、庭には独特の臭いがするキュウリやトマトが美味そうに輝いていて、それらをもぎ取っては食べていました・・・

ああー、懐かしい夏の風景です。 今ではこんなことはもうありません。 エアコンもなく、扇風機しかなかった少し前が、実は過ごしやすく幸せな日々だったと思い出されます。 今やお金さえあれば、直ぐにでも多くのことが可能となりましたが、あの時のキュウリやトマトの臭いや甘くて美味かったスイカに都会では出会えていません。

今の野菜や果物は、水々しいというよりは水っぽいという表現が合っているのではないでしょうか?・・・ さらさら栽培者を中傷する気持ちはありませんが、人工の光で育った野菜なども太陽光で育った野菜とは根本から違うと思うのです。 私自身、この業界で働く前はキノコの人工栽培をしていましたが、自然界で育ったキノコは形状も味も違ったものでした。 ただ、消費者は人工栽培で作られた形が揃った画一的な方を好むというニーズがあったのも事実でした。 人間だって同じことだと思います。 赤ん坊の時にミルクで育った赤ん坊と、母親の乳で育った赤ん坊は免疫力も骨の太さや丈夫さえも違うと言われます。

このように考えて来ると、自然界は実に上手く不可思議な進化に遂げ気の遠くなる時間の中でここまでやって来たのだと納得することが出来ます。

それらの背景にある大きな大きな存在が、絶対的に「太陽」だと思います。 太陽に勝る「自然万有の母」はありません。 その恩恵を享受して来ていながら、我々はその太陽の変わらぬ機能によって、正反対の苦しみを受けつつあるのです。 地球温暖化とは、自然の摂理ではなく人間の欲から生み出された自分達自身の姿なのだと思います。

昔から日本人は自然と共存することが得意だったと思うのです。 ところがその日本人も共存どころか、足るを忘れ、物資文化に埋没している姿は、正に修正が必要な時期になったということではないでしょうか・・・

滑稽かも知れませんが、私は会社を創業する前から、将来は会社で農業に取組たいと考えていました。 多くの種類の食べるものを輸入に頼っている日本について、早くから懸念していました。それは世界各国との信頼関係や経済関係が順調ならば問題が発覚しないだろうが、ひとたび何かの拍子に微妙になれば、すぐに日本は食べ物に困ることになるからです。

産業基盤の元となるのは何も鉱物資源だけではありません。 農産物だって全く同じなのです。 米や野菜、或いは肉や魚の代わりに鉱物資源で代替出来やしないのです。 食べるものがあれば、貧しくとも決して飢えることはありません。 しかし、日本のようなまだまだ実態は工業社会の国では飢える可能性すらあります。

今まで進んできた道を戻ることは難しいでしょうし、出来るとも思えません。 しかし、今の姿に修正を加えることは可能だと思うのです。 その修正が「自然を少しでも取り戻す」ということではないでしょうか・・・ 我々は農耕民族です。自然と共存することを長い間やって来たのです。 人工的な対処も否定はしませんが、それ以上に自然と共存する道をもう一度見つめ直すことも、あながち合理的で科学的なことではないでしょうか?・・・

これからまだまだ地球は暑くなると推測します。 ひょっとすると日本でも真夏には40度近くなることも、そう珍しくなくなるのかも知れません。 そうなると人類は滅亡へのシナリオを書き始めていることになります。 そうならない為にも自然との調和や共存が今以上に重要な対応策になると予想します。

当社は可能な限り少しでも早く、農作物を育むことが出来る企業になりたいと願っています。

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